高分子フコイダンの秘密
モズクやワカメ、昆布などの「ネバネバ成分」として最近注目を集めているフコイダン。
フコイダンは海藻類に含まれる水溶性食物繊維で、1913年にスウェーデン・ウプサラ大学のキリン教授により発見されました。
フコイダンには健康や美容につながるたくさんの効果が期待でき、さまざまな可能性を秘めています。
この記事では、高分子フコイダンにおける健康パワーの秘密とフコイダンを効果的に摂る方法について解説します。
分子の大きさで分類されるフコイダンの違い
フコイダンは海藻などから抽出する際の抽出方法によって分子量(大きさ)が変わります。
分子量とは分子式(H2Oなど)の元素の原子量合計のことです。元素の原子量はもともとH(水素)=1、O(酸素)=16などと決まっています。
たとえば、H2Oの分子量は、H(原子量が1)×2+(原子量16)=18となります。
フコイダンは主に“フコース”と呼ばれる糖を主に構成する「高分子多糖類」です。
フコイダンはフコースなどの糖類が10個以上つながったものを指すのですが、天然だと分子量が平均20〜30万と多く、とても大きな塊(高分子)なのが特徴。
分子量の違いによって体への吸収速度が変わり、その結果体への効果も異なります。フコイダンを分子量ごとに分けると大きく分けて次の3つがあります。
高分子フコイダン
海藻などから抽出された自然なままの状態に近く、分子量10000以上の大きさのもの。
中分子フコイダン
フコイダンの構造を大きく壊さないように人為的に吸収しやすくしたもので、分子量1000〜10000程度のもの。
低分子フコイダン
中分子フコイダンよりさらに吸収しやすくした、分子量1000までの大きさで、主に分子量500程度のもの。
高分子フコイダンの特徴
高分子フコイダンは、ほとんど手が加えられていない「海藻から取った自然なままの状態」のものを示します。
フコイダンの構成状態が保たれているため、フコイダンが持っている健康パワーの恩恵をそのまま受けることができ、フコイダンの効果を最大限に得られるといわれているのがメリットです。
高分子フコイダンは腸管免疫をつかさどる「パイエル板」から取り込まれ免疫細胞の活性化に大きく関与します。
一方で分子量が大きいため、海藻をそのまま食べても小腸の柔毛から吸収されにくく消化器系の臓器以外での効能は十分に得られにくいデメリットも。
高分子フコイダンに期待!医療業界で注目される可能性も
フコイダンが持つ健康パワーは医療業界でも注目を浴びています。
その中でも異常増殖細胞にアプローチできるとされる可能性は、研究者にも大きな期待をよせられています。ここでは注目の高いフコイダンの可能性について解説します。
抵抗力の強化
フコイダンが腸の働きを活性化させることで、自然免疫細胞の働きを強くすることがわかっています。
腸管内で活躍する高分子フコイダンは、より効果に期待できるのです。免疫細胞が活性化すると、身体の免疫力がアップし抵抗力のサポートにつながると考えられています。
アポトーシス誘導の可能性
アポトーシスとは、細胞が自分の遺伝子プログラムによって異常がでた細胞を自滅に導く「細胞死」のことで、本来もとから細胞に備わっているシステムです。
しかし中にはこのプログラムが機能せず、異常増殖をくり返す細胞が出現します。
フコイダンはその異常増殖をくり返す細胞に対し、自滅するよう誘引する可能性があると考えられています。
生活習慣病予防につながる可能性
フコイダンによって中性脂肪やコレステロールが低下したという研究結果に加え、血糖値の急上昇を抑制したり血圧を下げたりといった生活習慣病に関するさまざまな報告がされています。
腸内環境を整えるサポート
フコイダンは腸内環境を整え、便秘や下痢の改善に効果的です。
腸内環境は免疫細胞とも深くかかわっているため、腸内環境を改善することで免疫機能の向上も期待できます。
研究から見た高分子フコイダンと低分子フコイダンの違い
高分子フコイダンと低分子フコイダンの免疫パワーを比較した実験では、低分子化したフコイダンには、活性化した反応はほとんど見られなかったという結果が出ています。
これにより高分子を取り込まれることで、人の抵抗力が活性化すると考えられました。
高分子フコイダン、低分子フコイダンともにそれぞれ健康パワーを発揮できる場所は異なります。
フコイダンはコレステロール低下や血糖コントロールへのアプローチが主な作用です。
この試験結果はすべてフコイダン(高分子多糖類)であることから、さまざまな可能性が示唆されていて高分子フコイダンについての研究は今なお注目されているのです。
高分子フコイダンを賢く活用する方法
フコイダンの健康パワーを効率的に享受するには、腸管でパワーを発揮できる高分子フコイダンがおすすめです。
高分子フコイダンにはモズク由来、コンブ由来、メカブ由来等があり、構造や含有量が異なります。
さまざまな海藻由来のフコイダンをとることでより良い効果が期待されていると考えられています。
おすすめの食品3選
食品からフコイダンを取ることは手軽で簡単な方法のひとつです。おすすめのフコイダン食材と食べ方を紹介します。
モズク
モズクはフコイダンを多く含むことで有名ですが、とくにトンガ産のモズクには多くのフコイダンが含まれており効率的にフコイダンをとることができます。
定番のモズク酢もおすすめですが、みそ汁、雑炊などのスープに入れることで溶けだしたフコイダンを余すことなく食べられます。
ガゴメ昆布
ガゴメ昆布 は函館の東海岸の水温・水深など昆布育成条件整っている北海道で生産される昆布で、フコイダンの含有量は昆布の3倍とされていています。
和え物にしたり、卵焼きにしたりと食べ方は多種多様。出汁をとった後のコンブにも栄養成分が多く含まれているので、余すことなく食べられるのでおすすめの食材のひとつです。
メカブ
低カロリーで手軽に食べられ、フコイダンをはじめビタミンやミネラル、鉄、ヨードなどの栄養素を豊富に含んでいます。
そのままご飯にかけて食べるのも良いですし、納豆にかけることで食後の血糖値上昇を抑えられる等の健康パワーの相乗効果が期待できます。
食品からの摂取に限界を感じたら健康食品やサプリなども活用
フコイダンは健康にいいとわかっていても、食材として毎日とることが難しい場合、サプリメントなども活用してみてください。
その際、体に負荷のかかりにくい添加物などが加えられていないものを選びましょう。
加工された商品には不純物が混入していることもあるので、表示を確認するなどしてフコイダンの健康パワーを効率的に享受できるよう意識したいものです。
高分子フコイダンには向かない体へのアプローチ
高分子フコイダンは腸管内で高い効果を期待できる一方で、吸収効率が悪いので体内に効果を出したい場合には向かない場合があります。
高分子フコイダンのような健康パワーを維持できる構造を残しつつ、消化管からの吸収率を上げて体内で効率的に発揮するためには「中分子フコイダン」を選びましょう。
まとめ
高分子フコイダンはさまざまな健康パワーが期待されています。
- 消化管内での健康パワー発揮は得意
- 食品から手軽に取ることができる
- さまざまな可能性を秘めていて今なお研究がなされている
などが高分子フコイダンの特徴です。健康につながる習慣として簡単に取り入れることができますので、日常にフコイダンを活用してみてはいかがでしょうか。